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リトミックって何ですか?② | Factory of Dreams

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リトミックって何ですか?②

以前、リトミックって何?という記事を、このコラムに書きました。

そこで、私は、「リトミックとは、音楽・ダンス・演劇など、体を使う芸術表現への考察や提言と言ったら良いでしょうか。」と書きました。

 

今日は、ダルクローズの「リズムと音楽と教育」を訳した板野平先生の、この訳書の冒頭にある、「訳者序」から、少しご紹介したいと思います。

 

まず、ダルクローズを、こう紹介しています。

“著者のエミール・ジャック・ダルクローズは、1865年にウィーンで生まれ、1950年にジュネーブで没するまで、音楽、舞踏、演劇など芸術の多分野にわたり、また、作曲家として、リトミックの教育法創案者として、多岐にわたり天才的でエネルギッシュな業績を残した人である。シャンソン、音楽劇、室内楽曲など多数作曲するかたわら、殆ど全ヨーロッパにわたって、音楽会、あるいはジュネーブ音楽院教授として音楽理論、ソルフェージュなどの公開教授にあった。”

 

更に

“わが国においても、大正初年、作曲家山田耕筰(*1)がこのリトミックに注目し、自らリトミックを習得し、西洋音楽を日本に紹介し理解させるためにはリトミックの研究が重要と考え、導入したようである。日本人としてリトミックを研究した最初の人は、おそらくこの山田耕筰であろうと思われる。ついで伊藤道郎(舞踏家)、小林宗作(元国立音楽大学講師)(*2)、天野蝶(東京女子体育大学教授)(*3)の各氏がダルクローズ教育の普及に尽力され、現在に至っている。”

と日本での普及のきっかけを述べています。

 

翻訳の意図としては、

“(前略)全国的にリトミックが普及されつつあり、実践的内容ばかりでなく、リトミックの教育的、芸術的理念、理論を知ろうとする人々に少しでも応えたいということと、そして私自身、リトミックがただ単なる教育上の方法ではなく、その背景に広大な理念、精神が流れていることを常々強く感じていたため、その内容を、ダルクローズ自身の著作に正しく当たってみたいとの希望を持っていたことにもよるのである。”

 

リトミックの普及や現場の状況や展望については、こうも語っています。

”必ずしも正しくリトミックが実施され、理解されたかどうか。ひとつには、リトミック教育では指導者に決して高い技術を要求しないとしても、高度な音楽性、芸術性、特に想像力と教育的センスを求めるため、正しい実践、理解という点では、まだまだ理想的には普及されていないのかも知れない。またこの論文集でも随所に散見できるように、リトミックは人間の外的表出力ばかりでなく、内面的感覚機能の鋭敏化とか発達などを求めていくこともあって、リトミックの教育課程を理解とか把握し難い面もあるものと思われる。“

 

そして、この「訳者序」の最後には、こう書かれています。

”心理学的、生理学的観点にもたっているこのリトミック教育は、今後ともわが国の学校教育その他の分野で素晴らしく貢献するものと確信するが、本書は、音楽家とか音楽教師だけでなく、舞踏家、演劇家、また家庭にある人においても人間としての教育に深い示唆を与えるものとして熟読玩味するべき書である。“

 

これを読んだだけでも、少しばかりの方法論を学んで、安易に「リトミック教えます」とは言えなくなりますね。(ため息)

ダルクローズの他の著書も含めて、「幼児教育」特に、3歳くらいまでの教育に限定して書かれているものを私は知りません。

一つ挙げるならば、この著書の中に、「音楽とこども」という項目があります。ここには、ピアノを習い始める前の子どもたちに必要なことが書かれています。

Factory of Dreamsのレッスンが、ダンスやピアノやミュージカルのレッスンを受ける前に、是非受けて欲しい「ヒューマンベイシス」でレッスンしていることと一致します。

しかし、これは、ダルクローズが「リトミック」と称して述べていることの本当に本当に一部にしか過ぎませんんので、やはり、私たちは、0歳児から3歳児(4歳まで)のレッスンは、ヒューマンベイシスと呼びたいのです。

 

板野先生が述べている「教育的、芸術的理念、理論を知ろうとする人々」の一部でありたいと願っているFactory of Dreamsのスタッフたちは、リトミックの本質的な学びを強く求めています。

もしも、学べる機関などご存知の方がありましたら、是非、お知らせ頂きたいです。

 

私たちは、ダルクローズの時代には解明されていなかった、「人間は、人生の中の初期の段階(幼児期)に脳が発達してしまう」ことも学び、参考にしながら、方法論を構築しています。

ダルクローズの研究と実践は。彼が大学で教えている中で、「学生たちが和声が苦手(別の機会にこのお話もしたいです)」であることから始まったそうです。

その対象が大学生から始まったのですね。

実は、私たちも、それと同じ様な経験をしています。

それらが、脳科学的な見地に立った幼児教育、表現教育についての模索につながっていきます。

これらもまた、別の機会にお話いたしましょう。

 

やはり、「リトミックとは、音楽・ダンス・演劇など、体を使う芸術表現への考察や提言」であって、幼稚園に入る前の習い事ではないのですね。

 

*1 山田耕筰:赤とんぼ、この道などの作曲者。西洋音楽の普及に努めた

*2 小林宗作 トットちゃんの恩師でもある

*3 天野蝶 天野式リトミックで知られる

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